
ゴム製の、多孔質散気管(ポーラスディフューザー)というものがあります。
ゴム製の膜に、数百ミクロンサイズの微細な穴をたくさん空けたタイプの、棒状や円盤状の散気管です。
そもそも、ゴム製の多孔質散気管は「下水処理向け」に開発された製品です。
それを場違いな「産業排水向け」にも使うため、下水向けでは露呈しなかった欠点が顕著に現れてしまって、
ユーザーを苦しめています。
以下に、その実態をまとめます。
● ゴム製散気管は、汚泥濃度(=微生物の濃度)が濃い現場では、数ヶ月〜数年の内に必ず目詰りを起こして使えなくなる。
● ゴム製散気管は、「酸素溶解効率が高い」と思われているが、実はけっしてそうではない。
清水時の酸素溶解効率は高いが、汚泥濃度が高い産業排水では、アルファ値は最大で0.2ほどまで低下する。
(アルファ値:0.2とは、キレイな水で採った酸素溶解効率を100とすると、その効率が 80%ダウンするという意味)
● ゴム製散気管は、数ミリサイズの、粒の揃ったバブルのみを吐出する。
小さなバブルは浮力が小さく、勢いよく水中を上昇しない。
だから攪拌力が弱く、槽底にどうしても嫌気性の堆積ヘドロが生じてしまう。
上記の3つの欠点はいずれも、汚泥濃度(=微生物の濃度)が薄い下水処理場では目立ちにくいため、比較的に
ゴム製散気管のメリットが出やすくなります。
しかし、下水処理場でいくら高い評価を得たとしても、条件が段違いに過酷な産業排水向けにそのまま使って
良いはずがありません。
ゴム製散気管は下水処理向きであって、産業排水向きではないからです。
ゴム製散気管を下水処理向けに使った場合と、産業排水処理向けに使った場合の「曝気の総合力」で比較すると、
一目瞭然です。
「曝気の総合力」とは、以下の評価分析チャートの各項目に当てはめた時に、キレイな五角形になるかどうか、で
判定できます。
(食事の栄養バランスと同じです。1種類だけの栄養素を過剰に摂取しても、人体はそれを活かすことはできません。
全体的な栄養バランスが取れてはじめて、健康を保てます。
散気管も総合力で評価して、その真の実力を見抜かないと損失をこうむることになります)
新しい曝気の手法として、マイクロバブルを曝気に使う、とPRしている会社があります。
果たして、マイクロバブル発生装置は曝気装置として優れているのでしょうか。
これも、「曝気の総合力」評価分析チャートで判定すると、よくわかります。以下のとおりです。
曝気槽内の水は酸素枯渇であるため、どんなマイクロバブル技術を使っても、酸素溶解効率はほぼ100%に達します。
だから、「酸素溶解効率」だけに着目すれば、「優れている」と評価されます。
しかし、局所だけに高濃度の酸素を送り込んでも、何百〜何千m3もある曝気槽全体からしてみれば微々たるもので、
非常に大きなエネルギーを使ってまで、曝気槽内でマイクロバブルを作る意味はありません。
加えて、マイクロバブルはサイズが微細すぎて、浮力をほとんど失っています。
だから、槽内を引っ掻き回して均一攪拌する力がなく、槽底に嫌気性の堆積が出来て、無駄に酸素を消費するゾーンを
生み出してしまいます。
局所に高濃度酸素を送り込んでも、その酸素供給分をはるかに上回る酸素消費ゾーン(嫌気ゾーン)を生み出して
しまっては、元も子もありません。